小学校の低中学年頃までは見過ごされたり許されたりしていたその同じ行動が、年齢が進み、小学校の高学年、更に中高生にもなる頃には不適切と見なされ、非難の対象になってしまうことは良くあることです。 定型発達の子のほとんどは、今の自分には何が期待されているのかを察知し、周囲の人をお手本にすることで、ごく自然に大人としての行動を学び移行していくことができます。 しかし、この絵カードに登場する子たちのように、それが難しい子もいるのです。その子たちには、それら一つひとつについて、丁寧に説明をして学ばせていくことが不可欠です。そうでなければ、自分の行動が、急に周囲の人たちから不適切であると指摘されるようになったことについて納得することはできないでしょう。 尚、この絵カードでは、犯罪など明らかに止めた方が良いことに対しては、「良くないことだからやめよう」ときっぱり言い切っていますが、その他のさまざまな慣習や価値観に関わることについては客観的な立場で説明をし、情報や選択肢を提供する立場を取っています。登場する人物は、“あなた”ではなく“この子”です。「この絵の子はこうしていますが、あなたはどうしたいですか、どうなりたいですか?」と、考える場を提供しているわけです。以上のことをご理解頂いた上で、このカードを活用して頂くと有り難いです。
最後になりましたが、この「状況の認知カード」中高生・年長者版でも、前回、前々回と同様に、「十人十色なカエルの子」(東京書籍)の作者である落合みどりさんに監修をお願いしました。ここであらためて感謝の意を表したいと思います。
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