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 ソーシャルスキルトレーニング絵カード

状況の認知絵カード 中高生版2

 小学校の低中学年頃までは見過ごされたり許されたりしていたその同じ行動が、年齢が進み、小学校の高学年、更に中高生にもなる頃には不適切と見なされ、非難の対象になってしまうことは良くあることです。
 定型発達の子のほとんどは、今の自分には何が期待されているのかを察知し、周囲の人をお手本にすることで、ごく自然に大人としての行動を学び移行していくことができます。
 しかし、この絵カードに登場する子たちのように、それが難しい子もいるのです。その子たちには、それら一つひとつについて、丁寧に説明をして学ばせていくことが不可欠です。そうでなければ、自分の行動が、急に周囲の人たちから不適切であると指摘されるようになったことについて納得することはできないでしょう。
 尚、この絵カードでは、犯罪など明らかに止めた方が良いことに対しては、「良くないことだからやめよう」ときっぱり言い切っていますが、その他のさまざまな慣習や価値観に関わることについては客観的な立場で説明をし、情報や選択肢を提供する立場を取っています。登場する人物は、“あなた”ではなく“この子”です。「この絵の子はこうしていますが、あなたはどうしたいですか、どうなりたいですか?」と、考える場を提供しているわけです。以上のことをご理解頂いた上で、このカードを活用して頂くと有り難いです。

 最後になりましたが、この「状況の認知カード」中高生・年長者版でも、前回、前々回と同様に、「十人十色なカエルの子」(東京書籍)の作者である落合みどりさんに監修をお願いしました。ここであらためて感謝の意を表したいと思います。

イラスト構成リスト(A4サイズ 22枚)

  1. 可愛がってくれた祖母が亡くなった。「明日は、映画を見に行く予定になっている。前売り券も買っている。お葬式には出られない」

  2. 「お腹が痛〜い。うんこ、行ってくるねぇ!」

     
  3. 「ぼくは疲れているんだ! そこ、どいてください」

     
  4. 「通り道に荷物を置いたのが悪い。ぼくは悪くないのだから謝る必要はない」

     
  5. 「バスの中では、静かにしなければいけない。赤ちゃんがとてもうるさい。 静かにさせるよう、母親に注意しよう」

     
  6. 「すみません。トイレを貸してください」
    通りがかりの知らない家だけど、ここでトイレを貸してもらおう。

     
  7. 「明日1時に、○○に来られる?」 「1時? 行かれると思うけど」

     
  8. 「男の人の言う通りにしているだけで、お金がもらえるんだよ」

     
  9. 「水泳部の部室から、あの子の下着を持って来れば良いんだね」

  10. 「えっ、パンを買ってくるの?」
    (次の授業が始まるけど……でも、たのまれたことはやってあげないといけないから)

  11. 「さっきAさんが先生は教え方が下手だと言っていました。もっと、教え方を工夫した 方が良いと思います」
    (先生は知らないかもしれないから教えてあげよう)

  12. 「晩ご飯を作っているようだ。栄養のバランスについて教えてあげよう」

  13. 「ぼくは安物のクッキーはあまり好きではありません。今度は高級店のクッキーにしてください」

  14. うるさいので泣きやませようとしただけ。殴ったけど、けがをしてしまうほど強くは殴っていない。

  15. 電車に乗っている間にお化粧するといいね。

  16. 「ぼくが小さい頃から親切にしてくれた近所のお姉さん。大好きだから、ずうっと ついて行こう」

  17. (知らないお姉さんだけど) 胸をさわりたいな。

  18. 「元気そうだって? うそつき。やせているし、青白い顔をしているじゃないか!」

  19. 「飾り付けが終わったので、帰ります」

  20. 「下着が見えていますよ」
    (この人、下着が見えているのに気付いていないらしい。教えてあげなくては)

  21. 「“押してください”と書いてあるので、押してみよう」

  22. 「この本、順番通りにならんでいない!」

指導事例

(7) 「明日1時に、○○に来られる?」
    「1時? 行けると思うけど」
 「これ、明日の1時に来られるかどうかを質問しているの?」

「・・・・多分」

「これだけなら、そう思うよね。

 だったら、『一緒に来て欲しいな。明日、1時に来られる?』と言ったとしたらどうかな。それも質問?」

「1時に集合できるかどうかを聞いている。」

「聞いているだけ? 来ても、来なくてもどっちでも良いと思っているの?」

「さぁ・・」

「ここに書いてみるよ。(『一緒に来て欲しいな。明日、1時に来られる?』と書いて)読んでみて!」

「『一緒に来て欲しいな。明日、1時に来られる?』」

「来ても、来なくてもどっちでも良いと思っているの?」

「あっ、来て欲しいのか」

「そうそう。『一緒に来て欲しいな』『来て欲しい時刻は1時だよ』ってことね」

「そういうこと」

「この絵の『明日1時に、○○に来られる?』ということばの中には、『来て欲しいな』という意味が込められているってことね」

「それなら、そう言えば良いのに・・」

「そうだね、そう思う。
でも、実際には、この絵のような言い方をする人は多いよ。覚えておくと良いね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」 


 右の男の子は、1時に行けるかどうかの都合を聞かれただけだと思い、家でのんびりしています。
 相手がこのような言い方をする時は、来ることが可能かどうかを聞いているのではなく、「来られるのなら来て」という意味で言っている場合が多いです。前後の会話やしぐさで「来て欲しい」という願いを示していることもあります。
 それらを考え合わせても、まだ、都合を聞かれただけなのか来て欲しいという意味なのかがはっきりわからない時には「行けると思うけど・・行けばいいの?」と確かめてみるとよいです。


(18) 「元気そうだって? うそつき。やせているし、青白い顔をしているじゃないか!」
 「この絵の場面の説明をしてみて」

「この人が入院していて、この子たちがお見舞いに行った。それで、この子がうそをついたのですかね」

「そう。どんなうそかと言うとね、この入院している人はやせて顔色も悪いのに、この子が『お元気そうですね』って言ったの」

「うそをついたらだめですよ」

「そうね。この女の子も、できたらうそなんかつきたくないだろうね。でも、この場面では、本当のことを言ってしまわない方が良いと思ったのだろうね」

「どうしてですか」

「もし『やせてきましたね。青白い顔で、元気ないですね』って言ったら、この入院している人は、良い気持ちがする?」

「落ち込んでしまいそうです」

「そうでしょう? たとえ、それが本当のことでも、そう思ったとしても、それをそのまま口には出さない方が良いこともあるのね」

「そんなものですか」

「この女の子の場合は、思ったことをそのまま口に出さないだけでなく、逆のこと、つまり元気そうには見えないのに、『お元気そうですね』と言ったね。どれは、どうしてなのかな?」

「元気と言われたら、良い気持ちがするから」

「そう、多分ね。でも、そう言われて、良い気持ちにならない人もいるかもしれないけどね。でも、少なくともこの女の子は、相手に良い気持ちになって欲しくてそう言ったんだろうね。裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」 


 病気の人をお見舞いに行った時は、元気になって欲しいという願いを込めて、実際にはそうは見えなくても「お元気そうですね」と言うことがあります。
 病気で入院している人は、普段より気が弱くなっていたり、ちょっとしたことに傷つきやすくなっていることがあります。お見舞いには、入院している人を元気づけたり気分転換をしてもらうという目的があります。“顔色が悪い”“元気がない”などの否定的なことばはその目的には相応しくはありません。だから、そういうことばは使わないようにするのがエチケットなのです。

(22) 「この本、順番通りにならんでいない!」
「この子、何をしているの?」

「本の・・・順番が違うから、揃えている」

「きれいに番号順に並んでいると気持ちが良いものね。では、こっちの男の子は? 何を言おうとしている?」

「電車が来るよ」

「電車が来るから、どうしようって?」

「電車が来るから、乗ろう」

「そうね、焦っているように見えるから、この電車に乗らなければならない理由があるのかもしれないね。
 でも、こっちの子は、今、本の順番を揃えるのに夢中。困ったね、こんな時はどうしたら良いかな?」

「止めて、電車に乗れば良い」

「止められると良いね。でも、きちんと最後までやりたいし・・こんな時は止められないかもしれない・・」

「でも、止めないと・・・」

「うん。でも止められない・・。何か良い方法がないか、裏の説明文を読んでみよう。」 


 シリーズ物の本の番号が、順番にきれいに並んでいると気持ちの良いものです。それで、この子は、本屋さんで本の順番を揃えているのです。しかし、一緒に来た友だちは、 もうすぐ来る電車に乗らなければならないので焦っています。今、優先しなければならないのは、遅れないように電車に乗ることです。
 店の人も、売り物の本をいつもきれいに順番通りに並べたいと思っているものです。
 でも、その作業をする時間が取れない時もあります。後は、店の人にまかせるようにします。
 尚、本屋には、本が順番通りに並んでいることの多い開店直後に行くようにすれば、気になる事を少しは避けることができるかもしれません。




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