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 ソーシャルスキルトレーニング絵カード


状況の認知絵カード3

ルールやマナー、社会の中で生活していく上でのスキルは、普段の生活の中で少しずつ教えられたり、周囲をお手本としながら自ら学んでいったりするものです。しかし、それが困難なタイプの子には、SSTの場を設定して補っていくことが必要です。
「状況の認知絵カード」の1と2に引き続き、この「状況の認知絵カード」の3でも、場面状況や対人社会スキルについて絵と文で説明する形式をとりました。すなわち、はじめに“絵カードに描かれた状況”が、登場する子どもにはどう見えているのかを提示し、“絵カードの中の他の情報”を読みとったり、“一般的社会的な事実や見解“と照らし合わせたりすることで、その子のその見え方の誤解を一つひとつ解いていったわけです。

勿論、ここに描かれたもの以外にも、子どもたちの生活の中には、その言動が周囲に不快感を与えたり、逆に、被害を被ったりする場面は沢山あると思います。この絵カードに描かれたものは、その中のほんの一握りの場面です。しかし、この絵カードでの指導をインストラクション(言語的教示)と位置づけるなら、それに続くモデリング(見本の提示)リハーサル(模擬場面)を経ることで、場面の捉え方や対処法をより現実に即したものにし、役立てていくことは可能です。それら一連の指導や活動の中で、子どもたちに自分の取るべき行動を選択したり決定したりする力を育てていきたいと考えます。

ところで、この絵カードには、もうひとつの目的があります。それは、指導者をはじめとした周囲の大人も、このカードを通して子どもたちの状況認知の弱さやそれに伴う困難を知り、関わり方を工夫したり環境を整えたりする時のヒントを得て欲しいということです。その視点でのご意見を是非お聞かせ下さい。今後も、この絵カードをより実践的なものに改善していくことができるようにご協力いただければ有り難いです。

最後になりましたが、この「状況の認知カード」の3の場面選択や状況の説明文の作成にあたっては、中学生のお子さんをお持ちのWebのTinkerBellの管理人のまつこさんに多くのヒントやご意見を頂いたことを感謝の意を込めて申し添えたいと思います。

2004年12月25日 初版発行


イラスト構成リスト(A4サイズ 22枚)

( 1)「スーパーマーケットって広いなあ。ああおもしろい!」
 
( 2)「レストランではどうしたら良いの?」
 
( 3)「ハンバーガー、早く食べたい。まだですか!」
 
( 4)先生が「今度、テストをします。」と言った。「えっ、何のテスト? 」
 
( 5)教室の中で、皆がさわぐ声がうるさくてがまんができない。
  先生が「まじめにしなさい!」と大きな声でどなった。
  先生を怒らせるなんて、腹が立つ。
  「静かにしろ〜!」
 
( 6)「黒板を見て!」と先生が言った。
  「見たよ。あれ? 黒板の右下の日直の名前が消えかかっている。」
 
( 7)「お家にまっすぐ帰りましょう。」と先生が言った。
  「まっすぐ進んだら、田んぼに落ちてしまう。」
 
( 8)「じっとしてなさい!」とお母さんが言った。
  息は止めた。でも、心臓をじっと止めることはできない。
 
( 9)「今日の宿題はノートに漢字を書くことです。」と先生が言った。
  「そうか、書いてくるんだね。」
 
(10)チャイムが鳴ったから教室に帰った。
  「あれ? 誰もいない。みんなで僕を仲間はずれにするなんてひどい!」
 
(11)「県名なんて簡単だ。あの子まちがえた、もっとちゃんとやれよ!」
 
(12)「あっ、またゲームオーバーになった! どうしてだ!」
 
(13)クイズの本を借りた。「答えがわかった。ここに書こう!」
 
(14)おじいちゃんのお葬式。「ねぇ、おばあちゃん、おばあちゃんはいつ死ぬの?」
 
(15)「のどがかわいた。おばさん、ジュースを出して! ケーキも食べたい!」
  (友だちの家に遊びに行った時のルール その1)
 
(16)「ここには何が入っているのだろう、調べてみよう!」
  (友だちの家に遊びに行った時のルール その2)
 
(17)電話連絡の仕方
 
(18)「お姉さんの名前は? 生年月日は? 電話番号は? 身長は? 体重は?」
  町で会った知らない人に、何でも聞いて良いの?
  (会話のルール その1)
 
(19)自分が話したいことは、だれにでもいつでもどこででも話して良いの?
  (会話のルール その2)
 
(20)自分が話したいことは、どんどん話しても良いの?
  (会話のルール その3)
 
(21)自分が質問したのに、その答えではなく質問が返ってきた。
  どうしたら良いの?(会話のルール その4)
 
(22)「この虫の説明をしてあげるよ。」


指導事例

(10)チャイムが鳴ったから教室に帰った。
  「あれ? 誰もいない。みんなで僕を仲間はずれにするなんてひどい!」
 「教室に帰ったのに誰もいないよ。どうして?みな、どこかにワープした?」
 「黒板に書いてある、体育館にいるんだよ。」
 「ほんとうだ、机の上にも脱いだ服が置いてあるね。」
 「そうだよ。体育の時は、遊び時間に着替えたら良いのに。」
 「○○ちゃんはいつもそうしているの?」
 「うん、先生がそう言う。」
 「ふうん、先生は着替える時にはずっとそこにいるの?」
 「いない。」
 「えっ、どうして?」
 「知らない・・・・・あっ、先生も着替えてくる。先生も遊び時間の間に着替えるんだ!」
 「きっと、そうなんだね。先生がいつもいるわけではないから、先生の話や、周りの子の様子や、黒板に書いた字をよく見て行動することは大事なことなんだね。では、裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」

 黒板には「3時間目の体育は体育館でします。」と書いてあります。これは先生からのお知らせです。クラスのほかの友だちは、これを読んで体操服に着替えて体育館へ行ったのです。すぐに体操服に着替えて体育館へ行くとよいです。これから体育館へ行けば、一緒に体育をすることができます。
(14)おじいちゃんのお葬式。
  「ねぇ、おばあちゃん、おばあちゃんはいつ死ぬの?」
 「これ、お葬式だけど、○○ちゃんはお葬式って何か知っている?」
 「だれかが死んだんでしょ?」
 「そう、この写真のおじいさんが亡くなったのね。人は一度死んだらもう生き返ることはない。
  おばあちゃんも悲しんでいる。『いつ死ぬの?』なんて聞いたら、おばあちゃんはますます悲しくなってしまうよ。
  こんな時にはどう言えば良いか、裏の文を読んでみよう。」


 おばあちゃんもいつかは亡くなります。でも、それがいつなのかはだれにもわかりません。生まれてきた人はみんないつかは亡くなります。死ぬときのことを考えると、恐い、寂しい気持ちになる人が多いです。おばあちゃんが亡くなったときのことを考えて心配になったときは、「おばあちゃん、元気で長生きしてね。」というと良いです。
(22) 「この虫の説明をしてあげるよ。」
 「この子、虫のことをよく知っているみたいだね。だから、虫のことをいっぱい話したいんだね。みんな、聞いてくれそう?」
 「・・・・。」
 「この子は?」
 「かゆいって。」
 「うん、虫にさされて、かゆくて、お話を聞く気になれないかもしれないね。」
 「この子は?」
 「こわいって。」
 「虫は好きではないみたいね。」
 「この子は?」
 「聞いてる。」
 「そうね、虫の話を聞きたい子も、聞きたくない子もいるんだね。本当は聞きたいけれど、今は疲れていていやだという子もいる。一人ひとり違うね。相手が聞きたいかどうかを考えたり確かめたりしながら、話すことは大事だね。」
 「裏に、この絵の説明文があるから読んでみよう。」

 この友だちはこの虫の話に興味を示しているようです。
 しかし、いつもいつも、相手が虫の話に興味を持つとはかぎりません。自分は好きなことでも、相手も同じように好きとは限らないのです。
 この場面の他の子のように、虫が苦手だったり、暑さで疲れていたり、虫にさされてかゆかったりなど、理由があって話に興味を示せない人もいるかもしれません。



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